2025年7月1日、CygamesがCEDEC 2024(2024年8月開催)で行った講演を先ほどYouTubeで一挙公開しました。『GRANBLUE FANTASY: Relink』開発に関する部分やAI活用、フォトグラメトリーなど多岐にわたる内容を無料で視聴できます。
こいつは有り難い!
コンテンツ
『GRANBLUE FANTASY: Relink』クオリティと物量の両立に挑戦したフェイシャルアニメーション事例 ~カットシーンからランタイムまで~
グラフィックス技術の向上や演出の高度化にともない、ゲームにおけるキャラクターのフェイシャル表現に求められるクオリティは年々高まっており、高いクオリティを維持したフェイシャルアニメーションの量産技術は重要性を増しています。
GRANBLUE FANTASY: Relinkは、ソーシャルゲームGRANBLUE FANTASYの人気キャラクターを取り扱うコンシューマーゲームであり、大勢のキャラクターを扱うと同時にリッチな表現が求められる、ファンからの期待も高いタイトルです。このため、クオリティの追求と大量のアセットの作成という、相反する関係にある課題を両立するための取り組みが必要となりました。
本講演では、ハイクオリティな演出を実現するためのフェイシャルリグやカットシーン制作におけるフェイシャルの仕組み、および、膨大なセリフパターンやユーザーの自由操作に対応するためのランタイムでの処理などについて、アーティスト、エンジニア、それぞれの視点でご紹介します。
コンシューマーデザイナーチーム 芝 孝次
コンシューマー ゲームエンジニア 花田 萌美
『GRANBLUE FANTASY: Relink』キャラクターの魅力を支えるリグ・シミュレーション制作事例
昨今のゲーム業界では、長年愛されているコンテンツの力を活かし新たなプラットフォーム及びゲームジャンルに拡張させることは珍しくありません。「GRANBLUE FANTASY: Relink」は、今年10周年を迎える「グランブルーファンタジー」を原作とする、コンシューマー向けのアクションRPGです。長年にわたり多くのプレイヤーに愛され続けてきた多数の2Dキャラクターの魅力を損なうことなく3Dモデルに昇華するにあたってリグ制作者には、プレイヤーの期待を裏切らないクオリティと大量のアセット量産を実現する役割が求められました。制約のあるリソースとレギュレーションの中でそれらの課題を解決するため、高品質化・効率化の両方面から実施した課題解決までのプロセスを解説します。
3DCGアーティストチーム シニアアーティスト 神田 遼
コンシューマー ゲームエンジニア 仲元 侑李
『GRANBLUE FANTASY: Relink』最高の「没入感」を実現するカットシーン制作手法とそれを支える技術
一般的にカットシーンと呼ばれる、ゲームの世界観やストーリーをユーザーに届ける演出に関して、 よりハイクオリティな「没入感」を目指すために、エンジニア視点から開発をどう支えていったのかを解説いたします。 具体的には、制作のすべてをリアルタイムレンダリングで実現するための技術や、 ユーザーが操作するプレイアブル中とシームレスにつながる演出シーン手法、 さらには、物量を支え、イテレーションを上げるための制作ツールとワークフローに関してまで、 本タイトルで実現した、圧倒的「没入感」を「技術」で支える制作手法を、余すところなく紹介いたします。
コンシューマー シニアエンジニア 中村 大吾
『GRANBLUE FANTASY: Relink』 乱戦を制するミックス~Ambisonicsと動的音量制御と掛け合いボイス~
『GRANBLUE FANTASY: Relink』では、最大4人のプレイヤーが強大な敵と戦闘を行い、多数の音が同時に再生されます。
再生される多数の音の中からユーザーに聞かせたい音をどう届け、効果的な演出を行うのかという点について、
本タイトル独自の「聞き心地が良いサウンド」の実現に向けた発音やミックスの工夫を紹介します。
本セッションでは、
・イマーシブオーディオを活用したミックス
・リアルタイム音量制御システム開発によるミックス
・ゲーム仕様に則ったタイミングの調整によるミックス
の3つの側面から取り組みをご紹介します。サウンド本部サウンドデザインチーム リードサウンドデザイナー 城後 真貴
サウンド本部サウンドデザインチーム リードサウンドデザイナー 泉名 利樹
大阪コンシューマー ゲームエンジニア 池田 岩暉
『GRANBLUE FANTASY: Relink』キャラクターの個性にlinkした効果音表現
『GRANBLUE FANTASY: Relink』では、操作キャラクター、敵キャラクターそれぞれが個性的なキャラクター性を持ちつつ、かつ特有なアクションを持っており、
効果音に関してもキャラクターの個性に合わせたコンセプトをそれぞれ用意して、制作を行っています。
本作では20を超える操作キャラクターが登場するため、それぞれのキャラクターに効果音でもどういった個性を持たせるのかが課題となりました。
より高いサウンドクオリティを目指して、どのような手法を使いそれぞれのキャラクターの特徴を音で表現したか、
また実装時における工夫や、実際にゲーム中で発音される際に気を付けていたことなどについて解説します。サウンド本部 サウンドデザインチーム リードサウンドデザイナー 青木 大地
サウンド本部 サウンドデザインチーム サウンドデザイナー 牧野 竜大
『GRANBLUE FANTASY: Relink』ソフトウェアラスタライザによる実践的なオクルージョンカリング
遮蔽されたオブジェクトのカリングに、IntelのMasked Software Occlusion Cullingを導入した事例を紹介します。本手法は、GPUのZバッファ陰面処理と似たことをCPU上で行い、メッシュの可視判定を高速に行います。階層とタイル構造を持つdepth bufferを用いることで、SIMD命令の活用と、低いメモリオーバーヘッドを実現しています。また、提供されている実装がコンパクトで、x86環境に容易に組み込むことができます。
本セッションでは、本手法の仕組みに加えて、現実的な負荷に収めるために採用した仕様や実装に関するノウハウ、そしてPlayStation 4/5上での実際の処理時間や効果について解説します。コンシューマー ゲームエンジニア 大河原 昭
『GRANBLUE FANTASY: Relink』専任エンジニアチームで回す大規模開発QAサイクル
近年ユーザーからゲームへの期待値が高まる中で、コンシューマーゲームの開発は大規模化する傾向にあり、その品質を保証するためにはQAサイクルを高速に回すことが重要です。
本セッションでは数百人という大規模な体制で開発が行われたGRANBLUE FANTASY: Relinkにおいて、膨大な量のテストを実施し、それによって起票された30,000件を超えるレポートに対応するために、「専任エンジニアチーム」が「総合的品質管理手法」をもとに戦略的に行った数々の施策の解説と、開発運用されたツールやサービスを紹介します。
この手法を用いて体系的に品質を管理し、事例のような改善を行うことで、大規模開発のQAサイクルを効果的に回すことができます。
最後に、専任エンジニアチームによってQAサイクルの改善を行う事の有効性について提唱します。
大阪コンシューマー ゲームエンジニア 安田 隼
大阪コンシューマー ゲームエンジニア 倉 大輔
『GRANBLUE FANTASY: Relink』開発からリリースまでを支えたCI/CDの取り組み
本セッションでは、GRANBLUE FANTASY: Relink 開発時に行った様々な開発環境改善事例をご紹介します。
昨今のゲーム開発では実装やリソース、人員など、あらゆるものが大規模化しています。
GRANBLUE FANTASY: Relinkは最終的に以下の規模になりました。
・PS4/PS5/Windows(Steam)の3プラットフォーム
・1プラットフォームあたり、プログラムコード翻訳単位8000超
・実機ファイル数は約30万~31万ファイル
・実機データサイズは約28GB~80GB
開発規模に見合った CI/CD を構築し保守拡張することは、問題の早期発見に繋がる重要な要素になります。
開発速度と安定性を保つために必要だったことをお伝えします。大阪コンシューマー ゲームエンジニア 藤井 章暢
AIを活用した柔軟かつ効率的な社内リソース検索への取り組み
言語と画像の両方を扱えるAIモデルを利用して、社内の画像検索を行う機能を構築したのでその紹介を行います。従来の画像検索では画像ごとにタグを付ける必要があり、タグ付けの手間がかかったり、タグの内容が担当者ごとに異なってしまうなどの問題点がありました。AI画像検索を導入することでタグを付けることなく、日本語で柔軟に画像検索を行うことができるようになりました。今回の発表ではAI画像検索を導入することになった経緯と、社内のリソース管理システムへの導入時の問題点と解決策について紹介します。またAI画像検索の発展系として、効果音、楽曲の検索に関しても導入を進めていますので、こちらについても紹介します。
開発運営支援 ゲームエンジニア 立福 寛
高品質なフォトグラメトリデータを取得するためのハードウェア&ソフトウェア開発
フォトグラメトリとは写真から3Dモデルを生成する技術で、ゲーム制作において写実的な3Dデータを生成するのに非常に有用です。
しかし、特に手持ち撮影では撮影者の技術や経験、被写体の特性により、作成される3Dモデルのクオリティにばらつきが生じることが課題となっていました。
本セッションでは,その課題をどのように解決したのかをテーマに、適切な撮影手法、機材と被写体の選び方といった基本から、
さらに高品質な結果を得るために弊社で独自開発したハードウェアを使ったデータ取得手法と、ジオメトリとテクスチャを分けたデータ処理パイプラインを紹介します。
また、フォトグラメトリデータの品質向上のために開発した内製ツールと開発に至った経緯も説明します。スキャンスタジオ スキャンエンジニア 湯 宇
スキャンスタジオ シニアスキャンエンジニア 遠藤 嘉和
ちなみにCEDEC 2025は7月22日~24日開催でCygamesさんは6つの講演を予定しているそうです。気になる方はそちらもチェックくしてみてね。
- 『ウマ娘 プリティーダービー』における映像制作のさらなる高品質化へ!~ 豊富な素材出力と制作フローの改善を実現するツールについて~
https://cedec.cesa.or.jp/2025/timetable/detail/s67aef079dfc52/ - LLMを活用したゲーム開発支援と、生成AIの利活用を進める組織的な取り組み
https://cedec.cesa.or.jp/2025/timetable/detail/s67af13628e73e/ - 大規模言語モデルを活用したゲーム内会話パートのスクリプト作成支援への取り組み
https://cedec.cesa.or.jp/2025/timetable/detail/s67af03f20aafa/ - 現場を理解して実現!ゲーム開発を効率化するWebサービスの開発と、利用促進のための継続的な改善
https://cedec.cesa.or.jp/2025/timetable/detail/s679c44d86e795/ - ブランド力アップのためのコンテンツマーケティング~ゲーム会社における情報資産の活かし方~
https://cedec.cesa.or.jp/2025/timetable/detail/s67af09ac022ed/
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