昔からCGに携わっている方にはお馴染み、ティーポットやウサギのモデル。
シェーダーやシミュレーションで煮るなり焼くなり割るなりデロンデロンにグッチョグチョにと・・様々な種類の過酷なテストに使用されてきました。
CG分野に携わって間もない人は何故ティーポット?ウサギ?この部屋よく見るなぁ・・・とか思う方も多いと思います。(私も昔はその中の一人でした)
そんなモヤモヤを解消すべく…特に人気の検証用モデルの情報を調べてまとめてみました。色々実験台にしてみてください。
2020/6/9 – リンク切れが多発していたので微調整
2020/6/23 – 全体調整し再アップしました
※旧サイトでも人気の高かった記事を新サイトの方に移植しました。(旧サイトの記事は削除済みです)
※それぞれのモデル解説部分と記事後半に、モデルをダウンロード出来るサイトへのリンクを書き込んでいます。
※其々ライセンス形態が違うので、試用の際はダウンロード先で確認してくださいね。後述のサイトではライセンス一覧も確認できます。
コンテンツ
Utah teapot(ユタ・ティーポット)
1975年ユタ大学のマーティン・ニューウェル氏によって制作。親しみやすい形状という事で自宅にあるティーポットをモデリングする事に。提案者は彼の妻。制作者の名を取ってNewell teapotと呼ばれることもある。
詳しい解説はWikipediaを参照していただければわかると思います。
- 日本語Wikipedia:Utah teapot – Wikipedia
- 英語Wikipedia:Utah teapot – Wikipedia
- 歴史:The History of The Teapot – Wikiid
- objファイルはこの辺からも入手可能:CS184 AS6
本記事最後に紹介するMcGuire Computer Graphics Archiveのサイトからも、扱いやすいデータをDLする事が出来ます。
Cornell Box(コーネル・ボックス)
1984年コーネル大学によって作成、主にGIやレイトレーシング等でシーンレンダリングのテストに使用されるケースが多いです。
初代の形状は現在の内部にボックスがある状態ではなく、1面が無い四角いモデルのみでした。そして長い歳月を経て現在の形に落ち着いています。
- Wikipedia:Cornell box – Wikipedia
- 公式サイト:The Cornell Box(歴史やデータ構造等が表記されています。)
ちなみに最近はこんなバリエーションもあるらしいです。
この球体バージョンは、本記事最後に紹介するMcGuire Computer Graphics Archiveのサイトからも、扱いやすいデータをDLする事が出来ます。
Stanford Bunny(スタンフォード・バニー)
1994年スタンフォード大学でウサギの陶器を3Dスキャンされた試験用モデル 69,451ポリゴン
定番のウサギですね、初めてデータ見たとき思ったよりポリゴン数が多くて驚いたのを覚えております。
- 日本語 Wikipedia:スタンフォードバニー – Wikipedia
- 英語 Wikipedia:Stanford bunny – Wikipedia
- スタンフォード大学3Dスキャンリポジトリ:“The Stanford 3D Scanning Repository”
本記事最後に紹介するMcGuire Computer Graphics Archiveのサイトからも、扱いやすいデータをDLする事が出来ます。
Happy Buddha(ハッピー・ブッダ)
1996年 高さ20cmの仏陀像を3Dスキャンしたモデルで 1,087,716ポリゴン。
この表情や縦長の造形のせいか、水状に溶かされる事が多い印象。
- 公式ページ:Computer model and 3D fax of Happy Buddha
- スタンフォード大学3Dスキャンリポジトリ:“The Stanford 3D Scanning Repository”
本記事最後に紹介するMcGuire Computer Graphics Archiveのサイトからも、扱いやすいデータをDLする事が出来ます。
Stanford Dragon(スタンフォード・ドラゴン)
1996年
ドラゴンの陶器を3Dスキャンしたモデル
1,132,830ポリゴン
- Wikipedia:Stanford dragon – Wikipedia
- スタンフォード大学3Dスキャンリポジトリ:“The Stanford 3D Scanning Repository”
本記事最後に紹介するMcGuire Computer Graphics Archiveのサイトからも、扱いやすいデータをDLする事が出来ます。
Suzanne (スザンヌ)
2002年に作られたBlenderを代表するマスコット的な検証モデル。チンパンジーの頭部の形状をしている。
500ポリゴンと結構ローポリです。
Blender使いは誰もがご存知ですね。ジョーク画像でも頻繁に使用されます。Sintel等のBlender公式ショートフィルム内にイースター・エッグとしてさり気なく登場していたりします。
Wikipedia:Blender (software)Suzanne – Wikipedia
データが欲しい人は今すぐBlenderを導入しましょう!
プリミティブの追加の項目内にスザンヌモデルが標準搭載されています。
Sponza Atrium(スポンザ・アトリウム)
Marko Dabrovic氏が2002年に制作した宮殿モデル
本記事最後に紹介するMcGuire Computer Graphics Archiveのサイトからも、扱いやすいデータをDLする事が出来ます。
Sponza Atrium NEW (新 スポンザ・アトリウム)
CrytekのFrank Meinl氏により前項のスポンザアトリウムにカラフルな垂幕等が追加されたもの。
GI(グローバルイルミネーション)検証などに頻繁に利用されるようになりました。
DLはCrytekのサイトからどうぞ 無くなりました。
http://www.crytek.com/cryengine/cryengine3/downloads
本記事最後に紹介するMcGuire Computer Graphics Archiveのサイトからも、扱いやすいデータをDLする事が出来ます。
infinite 3D Head Scan (インフィニット3Dヘッドスキャン)
2010年、Infinite-RealitiesのディレクターLee Perry-Smith氏が自身の頭部を3Dスキャンしました。
高解像度のテクスチャファイルやZbrushデータも付いています。
主にリアルタイム系シェーダーの検証などにに使われることが多いです。
公式サイトの告知ページは消えてしまっていますが、ファイル自体は残っています。
- http://www.ir-ltd.net/uploads/Infinite_Scan_Ver0.1.rar (80 MB)
オブジェクト&テクスチャ - http://www.ir-ltd.net/uploads/Infinite_Scan_Displacements_Ver0.1.rar (65 MB) Displacements Maps.
- http://www.ir-ltd.net/uploads/Infinite_Ztl.rar (70 MB)
7のサブディビジョンレベルを持ったZBrushファイル
本記事最後に紹介するMcGuire Computer Graphics Archiveのサイトからも、扱いやすいデータをDLする事が出来ます。扱いやすくテクスチャの低解像度化とUVの継ぎ目を修正されているそうです。
San Miguel (サンミゲル)
アーキテクチャビジュアルアーティストGuillermo M. Leal Llaguno氏による庭園モデル
SSAOやシャドー等のポスト処理で使用される事が多いですね。
- 作者のサイト:Guillermo M. Leal Llaguno
本記事最後に紹介するMcGuire Computer Graphics Archiveのサイトからも、扱いやすいデータをDLする事が出来ます。クリーンアップされた元データと、リアルタイム向けにローポリ化されたv2.0も用意されてます。
3DBenchy(3Dベンチー)
2015年、Creative Toolsにより制作された船のモデル。
このモデルは、印刷が難しい要素を多く含んでおり、3Dプリンタのテストで使用されるケースが多いです。
公式サイトまであるのはびっくり…
- Wikipedia:3DBenchy – Wikipedia
- 公式サイト:3DBenchy – The jolly 3D printing torture-test
- ダウンロード先:Download – #3DBenchy
Spot(スポット)
2012年、カリフォルニア工科大学Keenan Crane教授により作成された可愛い牛のモデル。
5,856ポリゴン
Catmull-Clarkコントロールメッシュ、四角形、三角形分割、ベクトルテクスチャ、ビットマップテクスチャが付属しています。
Rubber Toy(ラバートイ)
Houdiniのテストジオメトリとして標準搭載され使用可能なゴムで出来たおもちゃ。
Pig Head(ピッグヘッド)
Houdiniのテストジオメトリとして標準搭載され使用可能な豚の頭部
注意:普通の豚は44本の歯を持っていますがこの豚には何もありません。
おまけ:Man(通称:XSI男)
Softimage(旧XSI)ユーザーにはお馴染みの実験台モデル
日本ではXSI男の名前で知られています。
なんとも言えぬたたずまいと、さり気ない乳首のポリゴン割が彼のキャラクター性を引き立てているに違いありませんね。
最近はICEの実験台にされることが多いので、よくVimeoでお目にかかります。
最近はもう見かける頻度が減りました…
データが欲しい人は(いるのかな)お近くのXSI(Softimage)ユーザーに声をかけてみて下さい。(もういないかな…)
その他:情報
最後に上記で紹介したメッシュのいくつかをダウンロードする事ができるサイトを紹介します。
List of common 3D test models
テストモデルについてのWikipediaです。一般的な検証モデルの情報が表に並べられています。
List of common 3D test models | Wikipedia
リンク先からファイルがダウンロード出来る事もありますが、扱いやすいデータになっている可能性は低いです。
McGuire Computer Graphics Archive
スポンザやコーネルボックスなど、一般的な検証モデルを多くのCGソフトで扱うことの出来るOBJフォーマットにて提供されています。破綻の有るデータはクリーンアップされており、非常に扱いやすく調整されています。当サイトでは紹介しきれなかったモデルもありますので、要チェックですよ!!!
McGuire Computer Graphics Archive
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