モーションデザイナーのMike Gaynor氏が開発する、レイヤーベースのタイムラインとノードベースのコンポジットを融合したモーションデザインツール「Caddis 1.1.0」がリリースされました。
Caddis
Caddisは、一般的なモーションデザインツールで馴染みのあるレイヤーベースのタイムラインと、プロシージャルな処理を構築できるノードグラフを組み合わせたモーションデザイン/コンポジットツールです。
タイムライン上ではレイヤーを配置し、クリップの長さやキーフレームなどを編集。それぞれのレイヤーには独立したノードグラフが用意されており、エフェクトやジェネレーター、合成処理などをノードとして接続できます。
単純に「タイムライン型ツールにノード機能を追加した」という設計ではなく、公式ドキュメントではCaddisを「タイムラインエディタを備えたコンポジットエンジン」として位置付けています。
数値やパラメータ同士をノードで接続することも可能で、回転からスケール、オーディオからカラーといったように、さまざまな値を別の値から駆動できます。
内部には130種類以上のノードが用意されており、画像処理だけでなくShape、Points、Text、Field、Math、Tracking、Timeなど複数のデータタイプを扱うことができます。
レンダリングエンジンにはRust+wgpuが使用され、Metal、Vulkan、Direct3D 12を介したGPUアクセラレーションにも対応しています。
モーションデザイナー自身が開発
Caddisを開発しているMike Gaynor氏は、15年以上の経験を持つモーションデザイナーです。
開発のきっかけについて、普段使用してきたAfter Effects、Cavalry、Cinema 4D、Houdiniなど、それぞれのツールに存在する気に入った要素を、別々のワークフローとして扱うのではなく1つにまとめられないかと考えたことを挙げています。
CaddisではAfter Effectsのようなレイヤーとタイムラインをベースとしつつ、各レイヤーの内容をHoudiniやBlender Geometry Nodesに近いノードグラフとして構築できるようになっています。
2026年に個人開発プロジェクトとしてスタートし、ベータテストを経て同年8月に正式版となるCaddis V1がリリースされました。
Caddis 1.1.0
2026年9月30日に公開された「Caddis 1.1.0」は、開発者が「これまでで最大のアップデート」とする大型アップデートです。
パーティクルシステム
新たに本格的なパーティクルシステムが追加されました。
Point EmitterとPoint Solverを中心に構築されており、発生数や寿命、初速、重力、Drag、速度制限などを設定可能。
FieldノードをForceとして利用することもでき、ノイズやグラデーションなどを利用したプロシージャルな力場を構築できます。
ShapeをColliderとして利用し、Bounce、Slide、Stick、Killなどの衝突時の挙動を設定することもできます。
さらにSeparation、Alignment、Cohesionを使用したFlocking(群集挙動)にも対応しています。
パーティクルは通常のPointデータとして扱われるため、既存のDraw Points、Clone To Points、Draw Instances、Point Trail、Connect Pointsなどのノードとそのまま組み合わせることができます。
Draw PointsではGPUレンダリングに対応し、大量のポイントを高速に描画可能。CircleやSquareだけでなく画像を使用するSpriteにも対応しています。
Loop / For Each / Solver
ノードグラフ内の処理を繰り返すための新しい仕組みも追加されました。
Loopでは指定したノード処理を複数回実行可能。
Feedbackモードでは前回の結果を次の処理へ渡すことで、再帰的なパターンや繰り返し変形などを構築できます。
さらに、For Each Point、For Each Pathを使用することで、ポイントやパスごとにノード処理を実行することもできます。
そして興味深いのがSolverです。
Solverでは、あるフレームの処理結果を次のフレームへ引き継ぐことができます。
これによりパーティクルシミュレーションだけでなく、映像を前フレームへフィードバックするFeedback Tunnel、Smear、徐々に蓄積されるペイント表現など、時間方向に状態を保持する処理をノードで構築できます。
Layout
新しい「Layout」ノードでは、領域を複数のセルに分割してグリッドレイアウトを生成できます。
列や行の比率を設定できるほか、その値自体をキーフレームアニメーション可能。
セルのサイズ変更に合わせて隣接セルがリフローするため、Bento Gridのようなレイアウトアニメーションも比較的簡単に構築できます。
Layout同士をネストすることも可能です。
Cryptomatte
3DCGレンダリングとの連携では、新たにCryptomatteへ対応しました。
Blender、Redshift、Arnold、V-Ray、Karmaなどから出力されたEXRに含まれるObject、Material、Asset IDを読み込み、選択したオブジェクトからアンチエイリアスされたマットを生成できます。
3DCGでレンダリングした素材をCaddisへ持ち込み、オブジェクト単位でコンポジットするといったワークフローでも活用できます。
Lens Blurなどの新機能
Lens Blurノードも全面的に作り直されました。
Depth Mapを使用した被写界深度表現に対応し、Viewer上からフォーカス位置を直接選択することもできます。
そのほか、Measure、Twist、Field Gradient、Switchなどのノードも追加・強化されています。
AI生成機能
CaddisにはAIによる画像・動画生成機能も統合されています。
生成した画像や映像を外部ツールから持ち込むのではなく、AIノードとして直接ノードグラフへ組み込めるのが特徴です。
1.1.0では画像/動画生成モデルが追加され、モデルごとの解像度や品質、Durationなどの設定と生成コストをUI上から確認できるようになりました。
AI機能を使用しないユーザー向けに、AI関連機能そのものをUIから非表示にするオプションも用意されています。
MCPによるAIエージェント操作にも対応
CaddisはMCP(Model Context Protocol)にも対応しています。
AIエージェントからCaddisのプロジェクト構造やノードグラフを読み取り、レイヤーやノードの作成、接続、パラメータ変更、キーフレーム設定、コンポジション操作などを行うことができます。
例えば「角丸の矩形を作成してGlowを追加し、左からスライドインするアニメーションを付ける」といった指示から、AIエージェントにノードグラフやアニメーションの下地を構築させることも可能です。
1.1.0ではMCP経由でのレイヤー複製やタイムライン上のクリップ移動、キーフレームのEase調整などにも対応しています。
価格と対応環境
CaddisはWindows、macOS、Linuxに対応しています。
アプリ自体は無料でダウンロードして継続利用でき、最初の7日間はエクスポート機能も含めて試用できます。
7日間経過後も編集機能は利用できますが、エクスポートにはライセンスが必要です。
Caddis V1の永久ライセンス:$129
サブスクリプションではなく買い切り形式で、すべての1.xアップデートが含まれます。
なおAIによる画像/動画生成機能についてはライセンスとは別に従量制のクレジットが使用されます。
これは興味深い…
最初は「After Effectsっぽい新しいモーショングラフィックスツールかな?」くらいに思っていたんですが
詳しく見てみるとかなりプロシージャル寄りですね
まだ登場したばかりの個人開発ツールではありますが
今後どこまで機能が拡張されていくのか気になります!
是非チェックしてみてください!










コメント