プロご用達の3Dスカルプトソフト「ZBrush」の簡易版「ZBrush Core」がバンドルされた事で大きな話題となった、ワコムの板型ペンタブレット(通称:板タブ)エントリーモデル「Intuos 3D(CTH-690/K2)」を入手し触る事が出来たので、かる~くレビューしたいと思います。
さぁ使ってみるか!とその前に…“ふ~ん”という内容かもしれませんが、ソフトの基礎知識をおさらいしましょう。
Pixologic ZBrush
1999年当時、RGBに加え奥行き(Z情報)を持たせることで、2.5Dペイントツールとして登場し、異質さをプンプン放っておりましたが、機能の一つである、3Dモデルを扱えるSubToolを使った彫刻(スカルプト)機能が話題となりジワジワとシェアを拡大させ、「3Dスカルプト」というジャンルを確立させたソフトウェアです。今となってはCG、映像、ゲーム制作、3Dデジタル造形等では欠かせないツールとして進化・発展しました。リリース当初から、数回大幅な機能追加によるアップデートが実施されておりますが、既存ユーザーへ向け毎回無料でアップグレードを提供している太っ腹仕様な所も大きな特徴です。
2016年11月17日現在の最新バージョンは「ZBrush 4R7」で、近々日本語UIにも対応した「ZBrush 4R8」のリリースが予定されてます。現在の価格は795ドル(約80,000円)。初期バージョンの価格が確か295ドルくらいで、v1.5の段階で399ドルへ値上げされた経緯もあり、バージョンアップの際にジワジワと値上がりしてます。
買うなら早めに決断したほうがお得ですね。
Pixologic ZBrush Core
2016年10月14日に発売開始。ワコムさんの協力の下、日本を含む多言語対応と、機能をシンプルにすることで、低価格化が実現した、ZBrushの入門用バージョン。ソフト単品を購入した場合は149.95ドル(約15,000円)で、差額ほどの料金を支払えばフルバージョンの「ZBrush」へのアップグレードも可能。
Wacom Intuos 3D
2016年10月14日に発売。ワコムの板型ペンタブレットのエントリーモデル(Midiumサイズ)。シリーズでは初となる3Dソフト「ZBrush Core」がバンドルされ、発表当初から話題を集めました。筆圧レベル 1024段階。タッチ対応。DMM.make3D PRINT 造形割引クーポン付き。
価格は21,384円(税込)
ワイヤレスキット付き(ワコムストア限定)が22,500円です。
前置きはこの辺にしておいて・・・
Wacom Intuos 3Dの開封!
新しい製品の開封ってワクワクします。
パカッ!黒ベースなのはうれしいなぁ
箱の所に何かがあるのか…これ見るまで気が付かなかったのですが
バンドルされたソフトウェアのキーはこちらに張り付けられてます。
※すぐ箱を捨てる人は要注意!
非ワイヤレスモデル一式
早速使ってみようか
プスッとPCに接続して、ネットから最新ドライバを取得しインストール!
(ネット環境があれば付属のディスクは使わなくてもOKです。)
ワコムのサイトに登録して箱のシールに記載されたキーを入れると諸々バンドルソフトウェアや、3Dプリント割引クーポン等がゲットできます。
ちまたでは「ZBrush Core」の導入手順が分からず手こずっている人もいるみたい。Amazonレビューとか見てると、「ZBrush Core」を上手く導入する事が出来ず、諦めている人とかおります。(どうなのそれ)
ちゃんとワコムさんが解決方法を公式のFAQページ上で公開しているので、「ZBrush Core」の認証やインストールでのトラブルに陥った方は、そちらを参照してみると良いかと。
よくあるご質問と回答 > Intuos | Wacom
諸々環境が整ったら早速「ZBrush Core」を起動!
…と言いたい所ですが、タブレットPCを入れたらまず必ず設定すべき所があります。
コントロールパネルから、ワコムタブレットのプロパティを開いて
“縦横比を保持”にチェックを入れる!
これ必須設定です!たまにこれ知らないCGアーティストさんいて、びっくりします。正円すら描けなくなりますよ。
板タブレットの認識範囲とディスプレイの比率が同じならまだしも…
その他にこの設定画面ではタブレットを個別のモニタにマッピングしたり、アプリケーション毎に挙動を変えたり、ペンに付いているボタンに好きな挙動を割り当てたりする事ができます。がっつりお絵かきする前に設定をお忘れなく!
ちなみに私はペンに付いている2ボタンを、「右クリック」「中クリック」として割り当てて、通常のマウスと同様のオペレーションが出来るようにしています。
ZBrush Core
では「ZBrush Core」を使っていきましょう。
あぁ・・・項目の少なさがリリース初期段階の「ZBrush」を思い出す、機能がシェイプアップされてるのって良いですね。
“ダイナメッシュ”でゴリゴリ作成!でも良かったんですが、今回はひとまず基礎的なメッシュを作るのに最適な”Zスフィア”を使い、ざっくりとした形状を作りました。
ただ人型にしたかっただけなので、バランスはテキトーです。(後でいくらでも調整できるので)
Aキー押すとメッシュ化した状態が確認できます(これは酷いな…)
“ポリメッシュ3D化”を実行すると、スカルプト用にメッシュ化された状態の物がツール一覧に追加されます。
あとはゴリゴリ掘って、盛って、均して、移動して、伸ばしすぎたらダイナメッシュ!の繰り返しです。(作業に夢中になって3分クッキングみたいになりました。
このあたりで、部位へのクローズアップがやり辛くなってきたので、モデルの切り分けを行います。
分けたい範囲をマスクして~
スプリットのマスク分割!
上手く切り分け出来ました。
穴が開いた所は~
一度ダイナメッシュを実行(何もない所でCtrl+ドラッグ)すると穴が塞がれます。
ハードなエッジを出したいときは~
クレイポリッシュ!なんかをたまに使ったり。(パラメータいじると結果が色々変わるので是非試してみてください。)
開始から3時間弱で、こんな感じになりました。
ちなみに「ZBrush Core」はフルバージョンの「ZBrush」に比べ初期搭載のブラシが少ないですが、ブラシはこの辺の物しか使っていません。あとはShift+ストロークによるスムースブラシかな。「ZBrush Core」はブラシ選択で迷うことが無いです(少ないから)
ここから更に細かなディテールを詰める際には、IMMブラシ等が活用できるかなと思います。(Kitbashでのディテール付加など)
もう少しクオリティを高められたら・・ポリペイントして~、「DMM.make 3D PRINT 造形割引クーポン」を使って出力してみたいなぁ・・フフフ
この作品の行方はどうなるのか…私の時間と気分次第!
「ZBrush Core」を、もっと基礎から学びたいという方は、HOPBOXの福井信明氏が公開している入門動画・サイトがお勧めです。
3Dを描こう!ZBrushCore超入門講座 ZBrushCore動画で楽しく解説!
Intuos 3Dの感想
「ZBrush Core」でのスカルプトを数時間やってみましたが、特に問題なく使えました。
ペンは小型でかなりの軽量です。これの良し悪しは好みがズバっと分かれるかも。プロモデルに慣れてると軽すぎてチープな印象を受けてしまいがちですが、正直なところ、ガリガリ手を動かしていれば慣れます。
ペンが軽いからって描けなくなってたら、この仕事やってられないですからねぇ…!
タブレット上部のタグにペンを格納できるのは後で知りました。(常識?
板タブレットの方は紙に書いている感じでザラザラしています。ここも好みが分かれるところかもしれませんね。
私自身はザラザラ・ツルツルどちらでもOKなのですが、ザラザラしているとペン先の消耗が激しそうで気になります(笑
そこで はっ!っとなったんですが、ペン先って予備ってどこにあるのかな?…と。
本体裏にありました(笑
あとタッチ機能は…
個人的にぬるぬる動かせないので、ハード側のスイッチで強制OFFにしてます。
そういえば、このモデルの筆圧感知は1024段階なんですね。
昔「 FAVO CTE-640」というエントリーモデルを使っていた時期もありましたが、筆圧は512段階、当時のプロモデル(Intuos)が1024段階でした。そこから比較すると、今世代のエントリーモデルはかなり性能が向上してます。
最近発売されたワコムの新しい液晶タブPCに付いてる「Wacom Pro Pen 2」は8192レベルの筆圧検知が可能になったらしいです。良い意味で恐ろしいなぁ。
ハードは凄い勢いで進化していきますが、私のと筆圧レベルはドンドン減っていくような?
Intuos 3D 総評!
エントリーモデルでも…普通に使えます。
ZBrush Coreも値段相応の機能制限ながら、最低限の機能が揃っているのでゴリゴリ3Dスカルプトが出来ます。
この製品はCG業界では常識だった「PCとペンタブレットがあれば3Dモデリング・3Dスカルプトが出来る」という事実を一般層へ広げる第一歩となりそうです。3DCGへの先入観を払拭して、3Dアーティストがもっと増えると良いですね。
ワコムさんのここ最近の製品・サービスは3D・デジタル造形業界への意気込みを感じます。
3DCG・デジタル造形を始めてみたい方にかなり最適な入門用パッケージ「Intuos 3D」!是非お試しあれ!
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関連リンク
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